立て替え払いをしたとき

健康保険では、いったん医療機関等に全額支払った費用について、後で健康保険組合から払い戻しの給付を受けられる場合があります。

立て替え払いをしたとき

療養費(被扶養者の場合は家族療養費)

かかった費用のうち
保険診療に準じて算出された額の7割
  • ※給付割合は年齢や所得により異なります。
  • ※支払った費用のすべてが給付対象になるとは限りません。健康保険法で認められている治療方法と料金に基づいて算出された額が支給されます。

旅先で急病になったとき等、保険証を提出せずに医療機関で治療を受けた場合、医療費を全額自己負担しなければなりませんが、立て替えた保険診療分の金額については、当健康保険組合に申請して払い戻しを受けることができます。
このような立て替え払いに対しておこなわれる給付を「療養費」(被扶養者の場合は家族療養費)といいます。

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このようなときも療養費が支給されます

健康保険では、保険証の提出にかかわらず、次のような場合も「療養費」が支給されます。

療養費の支給対象事由 給付内容
生血液の輸血を受けたとき 基準料金の7割 
臍帯血・臓器等を搬送したとき 基準料金の7割 
保険医の指示により、コルセット等治療のため必要な治療用装具を購入、装着したとき 基準料金の7割 
保険医の同意を得て、はり・きゅう、あんま・マッサージ・指圧の施術を受けたとき
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基準料金の7割 
9歳未満の小児が小児弱視等の治療で眼鏡・コンタクトレンズを作成・購入したとき 上限の範囲内の7割(小学校入学前は8割)
下記の疾患の治療のため弾性着衣等を購入したとき
  • そけい部・骨盤部・えきか部のリンパ節郭清(広範囲切除)を伴う悪性腫瘍の術後に発生する四肢のリンパ浮腫、または原発性の四肢のリンパ浮腫
  • 慢性静脈不全による難治性潰瘍
上限の範囲内の7割 
スティーヴンス・ジョンソン症候群および中毒性表皮壊死症の眼後遺症により、輪部支持型角膜形状異常眼用コンタクトレンズを購入したとき 上限の範囲内の7割 

※給付割合は年齢や所得により異なります。

こんなことにご注意ください

健康保険の給付を受ける権利は2年で時効となります。

治療用装具について

療養費の対象となる治療用装具

  • 医師の指示に基づいて作製されたものであること
  • 治療のために必要不可欠なものであること
  • 患者の体に合わせて作られたものであること
  • ※治療用装具は原因疾患の患部に直接作用(支持・矯正・固定・免荷)し、原因疾患を解消させるのが目的です。

治療用装具とは認められないもの

  • 日常生活やスポーツなどにおける能力向上、改善目的のもの
  • 美容を目的とするもの
  • 職業上必要になるもの
  • 洗い替えなど日常生活の利便性のためのもの
  • 原因疾患の再発予防を目的とするもの
  • 症状固定後に作製したもの
  • ※症状固定後や障がい者の方の日常生活のために必要な装具は、「治療用装具」ではなく「更生用装具(補装具)」と呼ばれ、健康保険制度ではなく、市区町村の福祉制度の対象となります。

治療用の眼鏡等を作ったときの給付額(9歳未満対象)

【給付条件】

  • 5歳未満の2回目以降は、前回の購入から1年が経過していること。
  • 5歳以上の2回目以降は、前回の購入から2年が経過していること。

装具の購入額に対して、下記上限の範囲内での療養費の給付(健保負担分)

  種類 金額
上限額
(税込み)
眼鏡 38,902円
コンタクトレンズ 16,324円(1枚)
  • ※上記の額を上限とし、実際支払った金額の7割(小学校就学前の乳幼児は8割)が給付されます。

弾性着衣(四肢のリンパ浮腫治療用)を購入したときの給付額

【給付条件】

  • 一度に購入する弾性着衣は、装着部位ごとに2着までを限度とする。
  • 2回目以降は、前回の購入から6ヵ月が経過していること。
  • 慢性静脈不全による難治性潰瘍治療の場合は、1回限りの支給とする。

装具の購入額に対して、下記上限の範囲内での療養費の給付(健保負担分)

装具 1着の上限金額(税込み)
弾性ストッキング 28,000円(片足用の場合 25,000円)
弾性スリーブ 16,000円
弾性グローブ 15,000円
弾性包帯 上肢7,000円 下肢14,000円

海外で病気やけがをしたら

海外の医療機関で受診した際に支払った医療費も「療養費」として払い戻しを受けることができますが、こんなことにご注意ください。

  • 支払った費用のすべてが給付の対象となるとは限りません。
    • ※治療内容のレベルや治療費は国ごとに異なるため、海外の病院で発行された診療内容明細書と領収明細書に基づいて、国内の健康保険で定めた治療費を基準に算定した額が給付の対象となります。
  • 請求にあたっては診療内容明細書、領収明細書、渡航の事実が確認できる書類(パスポート等)の写し、海外の医療機関等に照会を行うことの同意書の添付(※)が必要になります。
    • ※ただし業務上で渡航した場合(海外出向者と同行の家族、海外出張者)は不要です。
  • 添付書類が外国語で作成されている場合は翻訳が必要になります。
  • 日本国内で保険適用となっていない療養は給付の対象になりません。
  • 療養の目的で海外に出向き、療養を受けた場合は支給の対象になりません。
  • 支給額算定は支給決定日の外国為替換算率(売りレート)で円換算されます。

入院・転院で移送が必要なとき

移送費(被扶養者の場合は「家族移送費」)

被保険者または被扶養者が、療養の給付等を受けるため保険医療機関に移送された場合に「移送費」が支給されます。

  • ※移植のための臓器等の搬送費用は、移送費として算定し、療養費として支給されます。

こんなことにご注意ください

  • 医師が一時的・緊急的に移送の必要性を認めた場合に限ります。
  • 事前(やむを得ないときは事後)に健康保険組合の承認を受けることが必要です。
  • 通常の通院費用等、緊急性の無い場合は給付対象になりません。

移送費を受けられる基準

医師が一時的・緊急的な移送の必要性を認めた場合で、かつ次のいずれにも該当すると当健康保険組合が認めた場合に支給されます。

  • 移送の目的である療養が保険診療として適切であること
  • 療養の原因である病気やけがにより移動困難であること
  • 緊急その他やむを得ないこと

給付内容

最も経済的な通常の経路および方法により、移送された費用を基準に算定された額(その額が実費を超えた場合は実費)が「移送費」として支給されます。

移送費の支給対象となる費用

支給の対象となる費用は以下の通りです。

  • 自動車、電車等を利用したときは、その運賃
  • 医師や看護師の付き添いを必要としたときは、原則として1人までの交通費

付き添いの医師や看護師による医学的管理に要した費用を患者が支払った場合は、療養費として支給されます。移送費は歩行不能または困難な患者を移送するために支給されるもので、通院のために利用する交通機関の費用、入院に必要な寝具その他の身の回り品の運送費用等は認められません。